豪徳寺を探訪~井伊直弼・死亡日の謎~世田谷線の旅(7):ヒコニャン/彦根市
- 2022/02/24
- 15:24
「武田鉄矢の自宅」と「世田谷城跡」を探訪しながら散策しました。
今回は、豪徳寺を訪れ井伊直弼の死亡日の謎に迫ります。
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(宮の坂駅)
前回の記事で訪れた「上町駅」の次の駅「宮の坂駅」に行って(下の写真)、
彦根藩井伊家ゆかりの「豪徳寺」を訪れてみます。
散策場所の位置関係を示すと以下の通りです。
(宮の坂駅前にある地図を筆者が加工したもの)
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(豪徳寺①:豪徳寺は世田谷城の一部だった)
豪徳寺に着きました。
世田谷の歴史に深くかかわる一族として、吉良氏と彦根藩井伊家があります。
前回の記事で書いたように世田谷城は吉良氏の初代が築城したとされていますが、
豪徳寺は世田谷城内の「弘徳院」と呼ばれていた小庵が起源と伝えられていて、世田谷城の一部であったというのが定説になっています。
「こうとく(院)」と「ごうとく(寺)」の発音が似ていますが、「こうとく(弘徳)」→「ごうとく(豪徳)」となったと考えられます。
戦国時代の終わり、世田谷吉良氏がこの地を追われた後は、世田谷城は廃城となり、廃れていましたが、
江戸時代になって世田谷の地を拝領した彦根藩井伊家が、豪徳寺と寺号を改め井伊家の菩提寺としてからは現在まで隆盛を続けることになりました。
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(豪徳寺②:世田谷城の土塁跡)
豪徳寺は世田谷城の一角を占めた場所にあるため、豪徳寺の参道脇には現在でも土塁跡が明瞭に残っています。
また、武家の寺は禅宗(曹洞宗、臨済宗)が多いのですが、この豪徳寺も武士の寺であるため当初は臨済宗で、後に曹洞宗に改められました。
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(豪徳寺③:招き猫発祥の地/彦根市と世田谷区)
豪徳寺は招き猫発祥の地と言われています((注)招き猫の発症については浅草の今戸神社など諸説あります)。
彦根藩主・井伊直孝が鷹狩りの帰り道、門前にいた猫が手を挙げて門内に招き入れられ、不審に思いつつ寺に入り休息していたところ、
突然の雷雨を避け、和尚の法談を聞くことができたことを大いに喜び、後に井伊家御菩提所とした由です。
お寺の事務所前には招き猫の看板が置かれ、
招き猫の銅像が出迎えてくれる「招福殿」の中には、
下の写真のように、ものすごい数の招き猫が置かれています。ここは招き猫に願を掛けて家に持ち帰った人たちが、願いが成就したのちに返納しにくる場所となっています。
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また、「招福殿」前にある三重塔には、
干支(十二支)の彫刻が四面に置かれているのですが、なんとネズミの部分に、十二支にはない猫が彫られています。
昔の人もユーモアが好きだったようです(^^
参考記事:豪徳寺の「招き猫」をモチーフにした世田谷線の記事については「世田谷に住んでいるタヌキ~世田谷線の旅(3)」を参照ください。
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(豪徳寺④:彦根市との関係)
滋賀県彦根市のマスコットキャラクター「ひこにゃん」(下の写真)は、
(出典:ひこにゃん公式サイト)
豪徳寺が彦根藩井伊家の菩提寺であること、招き猫の発祥地であることから作られました。
「ひこにゃん」は、招き猫と井伊軍団の兜を合体させたキャラクターになっています。
意外なところで世田谷区と彦根市の関係があったのでした(^^
【追記】江戸時代初期の寛永10年(1633年)、荏原郡の世田谷村・用賀村・岡本村など15ヶ村が「彦根藩世田谷領」になり、その後、太子堂村など5ヶ村が加えられ、計20ヶ村が「彦根藩世田谷領」として明治初期まで続きました。
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(豪徳寺⑤:井伊直弼の墓~異なる死亡日)
上述したように、豪徳寺は井伊家の菩提寺で井伊家の広大な墓所があり、
井伊家の中でも最も有名な人物、桜田門外の変で暗殺された井伊直弼の墓所があります(下の写真)。
ここで興味深いのが、この墓碑に彫られた没日が「三月二十八日」で、桜田門外の変が起きた「三月三日」と異なることです。
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これは、事件直後から直弼の死を秘匿するための工作が行われたためです。
秘匿工作が行われたのは、
大老の暗殺という天下の一大事に対処するための時間稼ぎが必要だったことと彦根藩の跡継ぎ問題があったためと考えられます。
江戸時代の幕藩体制下において、藩主が跡継ぎを決めないまま死亡すると藩は改易になり、御家断絶になりますが、井伊家という重要な家系の断絶は幕府の面子もありできないことでした。
このため、井伊家の跡継ぎが決まるまで井伊直弼の死は秘匿されたと考えられます。
下の写真は、桜田門と
桜田門脇に置かれた桜田門についての説明版。
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次回の記事では、古道・滝坂道や北沢川にあった水車の痕跡を見ていきます。
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