【JT】日本たばこ産業(2914)をチャートで分析する(1):特殊な高配当銘柄の特徴と株価の動向
- 2018/05/14
- 18:35
実は、私のポートフォリの中ではJTは比較的大きな割合を占めており、今回の急落で含み損が増大し、大きなダメージを受けています。
このような大きな急落はファンダメンタル的にはいろいろな理由がつくかもしれませんが、長期チャート的には、下がるべくして下がったな・・・というのが私の印象です。
今回はこのJTを分析するとともに私の今後の対応について書いていきたいと思います。
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(JTの特徴)
JTはかなり特殊な企業で、Wikipediaを見れば
・特別法「日本たばこ産業株式会社法」による特殊会社で、根拠法には、全株式のうち3分の1以上の株式は日本国政府(財務省)が保有しなければならないと法律で規定されている。
・JTインターナショナルを含めた販売シェアは世界第3位。2007年(平成19年)に英ギャラハーを買収して世界2位のブリティッシュ・アメリカン・タバコに迫ってきた。
(Wikipediaより抜粋)
等々と書いており、これ以上はWikipediaを見れば分かることなので、ここでは書きません。
Wikipediaには書いてないことで、念頭に置いておいたほうが良いと思われる点を私なりにまとめると次のとおりです。
(1)収益が為替に左右される
JTのHPで売上収益を見ると、海外タバコが60%弱、国内タバコが30%弱となっています。
つまり、売上収益の主戦場がロシア・英国等の欧州諸国であり、さらに今後はタバコ規制が強まる先進国でなく、市場開拓が見込まれる新興国に軸足を移していくことになると思います。
このため、ルーブル・ポンド・新興国通貨との為替変動が収益に影響を与えることになります。
自動車などの輸出産業も為替相場の影響を受けますが、影響を与えるのは主にドル円相場です。しかし、JTの場合は様々な国の通貨の為替相場が影響を与えますので、より複雑になります。
この複雑な為替相場の影響について、私レベルの能力ではとても分析できませんが、JTの収益が為替に左右されることは念頭に置いておいたほうが良いと思います。
(2)加熱式タバコの動向
日本国内では喫煙規制が強化され、喫煙人口が減少することは目に見えていますし、このことは以前からJTの株価には織り込まれていたと思います。
今後は、フィリップ・モリス・ジャパンのアイコスに遅れを取っていると言われているJTの加熱式タバコ「プルームテック」や新製品が国内市場でどれだけ盛り返していくか、加熱式タバコのまだ市場が形成されていない海外でどれだけシェアを獲得するかが中長期的な焦点になると思います。
JTの寺畠新社長は海外事業の経験が豊富だそうですので、特に海外でのシェア獲得に期待したいところです。
(3)高配当は維持される可能性が高い
JTの筆頭株主は財務省で33.3%の株を保有しています。日本政府としては財源確保のため当然ながらJTの高配当を期待していますし、JTも大株主である日本政府の意向を尊重せざるを得ません。
このため、JTが配当を増配こそすれ減配する可能性はまずないと思います。
東日本大震災後の日本政府の対応は、持ち株の売却ではなく、配当収入を継続的に得ることでした。
財務省は22日、東日本大震災の復興財源として検討していた日本たばこ産業(JT)株式の追加売却を見送る方針を正式に決めた。売却よりも年間約700億円の配当金収入を継続的に得るほうが財政面で得策と判断した。(中略)将来の完全民営化の方針は「堅持すべきだ」とした。株式売却に当たっては、経済的な利益を大きくすることを重視するよう求めた。
(2015年6月22日付け日本経済新聞より。太字は筆者)
(4)完全民営化の場合は
同時に、(上の日本経済新聞記事に書いてあるように)将来の完全民営化の可能性も残されています。その場合には、政府の株式売却による株価の下落も懸念されますが、私はそれほど心配していません。
完全民有化はJTの設立以来の悲願でもあるので、自社の株価が暴落することは何としても避けると思います。
JTの「増税およびJT株売却に関する会社コメント」(←「JTの会社コメント」はココをクリックしてください)を読むと、JTが完全民営化を悲願としていることが分かります。
財源確保としては、確実に歳入増を確保しうる政府保有のJT株式全株の売却を進めて頂きたいと考えます。(中略)JTの完全民営化は、専売改革以来の国の基本方針であるとともに、競合他社である国際たばこメーカーとイコールフッティングの競争環境で企業経営を行っていくためにも従前から望んできたところです。
(2011年9月6日 JTの「増税およびJT株売却に関する会社コメント」より抜粋。太字は筆者)
JTは今までも政府の株売却に対してはその都度(売却株の全てを対象にしたものでないにせよ)自社株買いなどの対応をしてきましたので、完全民営化の際の株売却においても自社株買いなどの措置が採られると思います。
完全民営化の場合には、大株主の日本政府がいなくなりますので高配当は期待できなくなりますが、経営の自由度が増し成長株として期待できるようになるかもしれません。
以上、JTを取り巻く状況を書いてきましたが、では今後どうなるかの分析はとても私レベルではできるものではありません。
私としてはファンダメンタル分析でなく、一番やりやすいチャートで分析していきたいと思います。
次回はチャートで分析してみます。(続きます)
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