東工大キャンパスを散策:蔵前工業会/東工大博物館/出穂山稲荷大明神/赤松稲荷大明神/謎の池
- 2018/11/28
- 07:56
今回は、大田区・目黒区・品川区の3つの区が接する地区(大岡山・洗足池地区)を散策してみます。
この地区に関心を持ったきっかけですが、相棒「花の里」ロケ地と勝海舟邸跡を散策で書いたように、
大田区の洗足池にある「勝海舟別邸跡」の説明板に、「勝海舟は西郷隆盛と会見するために、池上本門寺に赴いた」という通説とは異なる説明があったことがきっかけとなりました。
それでは、「大岡山・洗足池散策」の第1弾として、東京工業大学(東工大)キャンパスを散策してみます。
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(区境、県境には意味がある)
私は、区境や県境など「境」を見るのが好きで、地図を見ながらどうしてこのような「境」になっているのか考えたり調べたりします。
根拠なく「境」があるのではなく、そこには歴史的な意味があるので、調べていくと思いがけない発見をすることがよくあります。
新宿区の区役所から頂いた下の地図をご覧ください(東京23区のほとんどの区役所では、お願いすると地図を貰えます(一部の区は有料))。
神宮外苑の港区と新宿区の区境が、外苑西通りの東側に不自然に引かれているのが分かります。
普通に考えれば、外苑西通りが区境になっていいと思うのですが、神宮外苑の中にクネクネと曲がった不自然な区境があります。
この境界線はかつてここを流れていた「渋谷川」で、港区と新宿区の区境はすでに無くなった「渋谷川」の流域を今でも区境にしていることが分かります。
なお、今では暗渠化された渋谷川を上流まで遡ってみた記事を、神宮外苑を歩く(2)で書いたことがありますので、ご関心のある方はそちらの記事をお読み下さい。
(東工大キャンパス内の区境の意味は?)
このような感じで、いつものように区境を見ていると、大岡山にある東京工業大学(東工大)キャンパス内に、大田区と目黒区の区境があることに気づきました。
下の地図は、東急電鉄(目黒線・大井町線)・大岡山駅の改札を出たところに設置されている地図ですが、この地図を御覧ください。
東工大キャンパスの中に、大田区と目黒区の区境があることが分かると思います。
これは何かあると思い、大岡山駅に行ってみました。
東工大キャンパスに入ると、この区境はキャンパス内の銀杏並木道(下の写真)であることが分かります。
さらに、東工大キャンパスを出て北側の方の区境を観察すると、
区境は細いさびれた道(左の写真)で賑やかな商店街(右の写真)ではないことが分かりました。
この細いさびれた区境と賑やかな商店街の道を先程の地図に落としてみると以下のとおりです。
明治時代の地図で調べてみると、区境となっている細いさびれた道や東工大キャンパス内の銀杏並木道はつながっていた古道であることが分かりました。
つまり、この地区における大田区と目黒区の区境は「古道」であったわけです。
東工大キャンパス内をもう少し調べてみると、
キャンパス内の古道沿いに「出穂山稲荷大明神」(でぼやまいなりだいみょうじん)という小さな神社があり、
キャンパスの外ですが、ほど近い場所に「赤松稲荷大明神」という神社があります。
このような神社や庚申塔は古道沿いに置かれることが多いので、このことも、ここが「古道」であったことを裏付けます。
また、この「古道」は荏原台地の尾根道となっています。
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大田区と目黒区の区境の謎が解けたところで、せっかくですので東工大内を散策してみたいと思います。
(蔵前工業会)
なお、東工大の前身は「蔵前工業学園」といい、台東区の蔵前にありました。
このため、東京工業大学(東工大)のOB会の名前は今でも「蔵前工業会」となっていることは、蔵前→浅草橋散策(4)でご説明しましたので、ご関心のある方はそちらの記事をお読み下さい。
下の写真は、台東区蔵前にある榊神社(さかきじんじゃ)に置かれている「蔵前工業学園之蹟」です。
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(銀杏並木沿いにあるセブン・イレブン)
上で説明した東工大キャンパス内の銀杏並木沿いには下の写真のような大きなイートインスペースのあるセブン・イレブンがありますので、散策途中に軽食を取ることができます。
(東京工業大学博物館)
東工大正門に入ると右手に下の写真のような異形の建物があり、ここの2階と地階に東京工業大学博物館(展示室)があります。
平日の10:30~16:30が開館時間です。
特に圧巻なのが地階の展示室です。
東工大が輩出した2人のノーベル賞学者の白川英樹、大隈良典のコーナーもありました。
(鉄道マニアの撮影場所)
大岡山は荏原台地のほぼ中央に位置し、その名が示すとおり標高は36メートルと高いところにあります。
このため、大変見晴らしのいい場所にあるのですが、東急目黒線と大井町線の上にあるキャンパス内の陸橋は鉄道マニアにとって絶好の撮影場所になっています。
特に、夕日を背景にした電車の撮影のためにカメラを持った多くの人達が集まってきます。
私も試しに撮ってみました。
(謎の池)
東工大内のキャンパスには下の写真のような池があります。
柵があって観察しづらいのですが、大岡山の台地から湧き出ている湧水によって作られている池と思われます。
この池の脇には、明治時代の工業教育に大きな功績を残したゴットフリード・ワグネルの大きなレリーフが置かれています。
東工大の前身校はゴットフリード・ワグネルの進言でできたという経緯があるため、先程訪れた東工大博物館の展示室でも、ゴットフリード・ワグネルは大きく紹介されていました(下の写真)。
なお、この池の脇には道は、隣駅の「緑が丘駅」や「自由が丘」に行く近道でもあるので、地元の人達が買い物袋を抱えながら行き来していました。
【追記 2021年3月26日】
「ロボコン発祥の地」碑と「大変古い石を設置しているエリアについて、『【大岡山】「昔懐かしい魚介料理の店」と「東工大キャンパス散策」:つかさ』で書きました。
下の写真は、令和元年(2019年)5月25日に、「東工大南5館」脇に設置された「ロボコン発祥の地」碑。
乾電池2個のモチーフによる碑となっています。なぜ乾電池2個なのか? その理由については、上の記事をお読みください。
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次回は大岡山駅から歩いて10分ほどのところにある「洗足池」を散策してみます。
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